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少林寺で育った幼なじみの二人、クンパオ(ジェット・リー)とティンパオ(チン・シュウホウ)は、あるとき兄弟子らと喧嘩をして大暴れをしたあげく寺を追い出されてしまう。
町で仕事を探す二人だったが、立身出世を志すティンパオは宦官にして暴君のリュウに取り入り仕官する。
一方、自然な生き方を好むクンパオは体制の横暴に抵抗し、幼なじみだった二人は敵対することになる。
やがてクンパオは絶望の中で太極拳を編み出していく。
ほとんど創作であるとは思われるが、太極拳の伝説上の祖である
張三豊(=ティンパオ)が、
太極拳を生み出す過程を描いている。
彼が練習するシーンは陳式太極拳の表演であり、
終盤のアクションシーンでは太極拳を用いて敵の攻撃を受け流すような表現が見られる。
しかし全般にワイヤーアクションが不自然なまでに多用されており、
太極拳の武術的用法にはあまり真実味がない(ちなみに監督のユエン・ウーピンはマトリックスの武術指導を担当した人である)。
とはいえ、「太陽も月も丸い。人も丸くならねば」、
「体内の気をためて重心を低く保つこと」、
「回る球はすべてをはじき返す」など太極拳の考え方を
映像でわかりやすく見せてくれる。
太極拳はさておいて、趣向をこらしたアクションシーンが連続するのが見どころである(不自然なワイヤーアクションも多いけれど)。
少林寺では棍棒を使った修行僧の集団が陣を作って攻撃してくる。
食堂では不安定なテーブルに乗って戦闘。木組みの足場では柔軟に曲がる剣を巧みに利用しての戦闘。
磔台での刀を使っての決闘では、戦いに従って
木製の磔台が壊れていく。その壊れた破片を攻撃に利用したり、
磔台の上の人質をかばったりもする趣向となっている。
そこではまた、刀が刃こぼれしていくのも
死闘ぶりをよく表現している。
このように戦闘に舞台装置や道具を織り交ぜることによって
バラエティを出して飽きさせないというのは
香港アクション映画の一技法であるようだが、
その魅力をたっぷり味わえる。
人物描写に関して言うと、
ジェット・リーの素朴さが
この映画のストーリーや張三豊によくマッチして、魅力がよく生きている。
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