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太極拳自問自答 〜 小須田正孝
(2007年3月10日発行協会
ニュース36号に掲載したインタビュー記事です。)
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今回は太極拳十二にてご指導され、協会では技術委員長担当※の小須田正孝先生に原稿をお
寄せいただきました。「自分から太極拳をとったら何も残らない重度太極拳依存症」とおっしゃる先生の自問自答です。
※取材時
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(写真は2009年市フェスティ
バルでの陳式槍)
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数年前、孔祥東老師がまだ北京在住の頃に海井先生ご夫妻引率で北京に行き、42式太極拳・剣を習ってきたことがふと懐かしく思い出されます。毎年のよう
に県大会、全日本の42式総合太極拳出場に向けて練習まっしぐらの頃でした。その後、全日本選手権大会は総合太極拳A,Bを統合し、また剣・刀や徒手の規
定種目/伝統種目を統合して我々高齢者の出番が減りました。 |
太極拳の練習をする時は相手がいないゆえに自己の身体の反応に集中し、五弓と足裏を使って内勁を確認し仮想の相手を考えた套路動作を追及しているんです
ね。私は都連盟の”ワンコイン推手”講習に通っていますが、ここは実際に相手同士内勁を確認したりお互いに勁力を試行確認できる場である訳です。色々な試
行テーマ、様々な基本勁/套路勁を意識試行しますが(例えば三点一線)勁の発動を5回くらい試行してみて勁力協調がやっと一瞬成功できたと感じても、それ
が正しいかどうかは理解できている講師等を相手にやらないと確認できません。正しいと確認できても、それを会得し意識に残そうと思って一所懸命再現しよう
とするとその時点で「欲」が身体を変化させてしまい再現ができなくなることがあります。この辺りのことが悩ましいですね。太極拳推手はホントウに冷静かつ
繊細な知覚神経が必要なのですね。
昨年まで毎年3月頃に都連盟主催・馬長勲老師の推手/呉式講習がありました。講習の中で馬長勲老師は『推手は心理学と力学を応用する知覚運動だ』と話さ
れました。理解を深めようと心理学系科目単位や日本心理学会の「認定心理士」の資格を取得しました。後には心理士同胞ネットワークの方々に”武術”におけ
る身体の力学的反応などの研究をきいてみましたが、結局よく分からず。
三代一美先生の伝統陳式太極拳・土曜教室に通う傍ら、この教室の方々と何度か陳正雷老師(陳氏19世:太極拳第11代伝人)がおられる河南省鄭洲市に渡
り「老架」「新架」を習い、それぞれの修了証書を授受しました。陳老師が言われた言葉の中に『道は自分の中にあり、自分で切り拓いていくものだ』というも
のがありました。まずは自分の中に見つけられるか、また創れるかに至らなければならないのですが当然その境地にすら未だ無いのです。老師の、両足裏にどっ
しり降りているものを感じる定式、背骨から肋骨下脇腹(陳式で言う腰)から両胯にかけて筒バネの様な動きを見て、あらためて遠い道のりを感じたものです。
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